04


「黒月さんはどっちがいい?」

廉は子猫が貰えると分かり、上機嫌で圭志に聞く。

「なぁ京介。寮ってペット飼っていいのか?」

貰う前に学園で飼えるのかと気づいて圭志は首を傾げた。

「いいぜ。圭志が飼いたいなら俺が許可出してやる」

「それじゃ、黒猫貰うか?」

「お前の好きな方にしろ」

話がまとまった所で圭志が黒猫を、廉が白猫を貰うことに決まった。

廉は白猫をソッと箱から出して膝の上に乗せると喉元を人差し指で撫でてやる。

―みゃぁ〜

白猫が気持ち良さそうに瞳を細めて鳴いた。

「可愛い〜」

圭志も箱から黒猫を出して膝の上に置く。

黒猫の体から手を離せば、その手に擦り寄るように黒猫が顔を寄せてきた。

―みゃぁ

「悪くはねぇな」

擦り寄る子猫に圭志も自然と笑みが溢れた。







その後、外泊する予定だった圭志達は子猫を連れて遊べる筈もなく学園の寮へと帰ることにした。

「黒月さん」

店を出る時、白猫を抱いた廉に呼び止められる。

何だ?と、振り返れば廉は遠慮がちに言った。

「黒月さん達が暇な時でいいから子猫連れて来てもらえないかな?」

廉の腕の中でみゃぁみゃぁ、鳴く白猫を見て圭志はいいぜ、と頷いた。

段ボール箱の中に一緒にいた子猫達は、自分達が離れ離れになってしまうと分かったのか、先程から鳴き止まない。

圭志の快い返事に廉はホッと安心して子猫の頭を撫でた。

そのやり取りを隣で見ていた工藤は廉の頭をポンポン、と軽く叩いて笑う。

「よかったな」

「うん」

いきなり甘くなった雰囲気に圭志は、じゃぁまたな、と一声かけてさっさと店を出た。

「帰ろうぜ京介」

先に店の外に出ていた京介の隣まで行き、持っててもらった子猫を入れたゲージを受け取る。

―みゃぁ

「あぁそうだ。坂下に猫連れてまた来るって約束したから」

「そうか」

京介の指に、空いている方の指を絡め、それを合図に歩き出した。







end.

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